11.18.2011

EURO2012 優勝候補の筆頭はドイツ



ドイツ 3 対 0 オランダ

11月 16, 2011 4:45 午前 JST
Imtech Arena — Hamburg
審判:‬ C. Cakir‎
観衆:‬ 56000‎

この動画は先日行われたドイツとオランダの国際親善試合です。スコアは3-0でドイツの勝利に終わっています。両チームともベストメンバーとはいかないですが、双方2.3人ほど足りない程度で、どちらが著しくメンバーレベルを落としていたということはないと思います。また、親善試合だとしてもこのレベルのカードともなると世界からの注目度も高く、ユーロ本大会や突破がかかる予選のようなテンションではないにしても、怪我をしないことを優先し気持の抜け切った試合でもなかったと感じます。
オランダはW杯2010で準優勝、ユーロ2012予選でも9勝1敗と文句のつけようがない成績を残している、現在世界でも3指に入る力を持っている代表チームだと思っています。そんなチーム同士対戦だからこそ、余計に注目度が高い一戦だったわけですが、そのオランダを相手に、ドイツのホームであったことを差し引いても、ドイツの組織としての機能性・連動性はオランダのそれを遥かに上回っていました。

少し前にはブラジルにも完勝するなど、現在のドイツは本当に強いと思います。そして強いだけでなく美しいのです。バルセロナとレアル・マドリーの主力選手がずらっと顔を揃えるスペイン代表よりも、自分はトータルで良い結果を残すのではないかと予想しています(オランダもいい線行くと思っています)。代表監督のレーヴ氏の手腕が素晴らしいのは間違いないですが、下記の理由が特に大きいと思っています。
①まだ勝ったことがない。
②若い。が経験値が低いわけではない。
③強靭なフィジカルとメンタルを持つ元来の国民性。
④10年に渡る国家をあげての選手育成成果の結実。

①よく言われる事ですが、一度勝つよりも勝ち続ける方が遥かに難しい、その通りだと思います。追われる立場よりも追う立場の方が、精神的に守りに入るより、攻める姿勢でいられる方が良い結果を得られるでしょう。スペインはユーロ2008とW杯2010を連覇していますが、さらに勝ち続けられるでしょうか。素晴らしいチームであることに変わりはないですが、勝ち続けるためには少々新陳代謝が足りないのでは、と思ってしまいます(実際W杯優勝後のスペインは新しい選手の起用がほとんどなく、簡単に星を落とす試合も増えました)。勝ち続けるには、常に新しい血に入れ替え続ける必要があります。
②現在のドイツ代表は大変若いチームで勢いがあり、その上経験値も低くありません。W杯2010では、当時主将のバラック選手を直前の怪我で失いながらアルゼンチンを4-0で沈めるなど、若手がサプライズを次々と起こし、高くない前評判を覆し準決勝まで進出しました(スペインに準決勝で破れ、3位決定戦に勝利し3位)。その当時の世界的には無名の若手が現在のチームの主力を張っているのです(ユーロ2012予選中の試合には、平均年齢23.9歳というドイツ代表史上最も若いメンバーを起用した試合もあった)。
③ドイツ人のゲルマン魂とも呼ばれる不屈の精神力は有名な話ですが、伝統的に体格も良く、ぶつかり合いで負けることはほとんどないと思われます。先にも述べたように、前評判を覆しての上位進出はW杯2010だけではなく、前回のユーロ2008でもベスト4、W杯2006でもベスト4、ユーロ2004こそグループリーグで敗退してますが、日韓W杯2002では準優勝しています。いずれも高い前評判を得ていたわけではありません。本番に強い国民性なのです。スペインはまったくの逆で、技術は図抜けているものの、体は小さく本番に弱いメンタリティが伝統的です(予選だけは無敵、とか言われてた時期もありました)。
④東西ドイツ時代の、西ドイツ代表以来、ドイツサッカーは最先端からは常に遅れを取る存在に甘んじてしまっていました。持ち前の強靭なフィジカルとメンタルを前面に押し出したサッカーで、前評判以上の好結果を残すものの、技術的な面で見劣りし、決して魅力的とは言い難いものでした(自分も好きではなかったです)。そしてその技術の差が、勝てるか勝てないかを分けていたと思います。10年前にそれを理解していたドイツサッカー協会は育成年代の選手の発掘と指導・育成を強化。技術面に関する育成を特に顕著なものに変えたのだそうです。そしてその上、近年のスペインの成功を目の当たりにし、スペインを追い越せと努力してきた世代が今、チームの主力となって活躍しているのです。技術面の向上は戦術や傭兵にも変化をもたらし、本来攻撃的なポジションの選手を守備的なポジションで起用することを臆さなくなり、全体での技術レベルを更に高めてもいます(一例を挙げると、元々攻撃的MFのシュバインシュタイガー選手を4-1-4-1システムで特に守備のタスクを求められる1ボランチに起用してブラジルに完勝してます)。現在のドイツ代表は、持ち前の強靭なフィジカルとメンタルに、華麗な技術を兼ね備えた素晴らしいチームです。

これは付随してくる内容ですが、このドイツ代表の隆盛は自国のリーグであるブンデスリーガのレベルの底上げにも繋がっています。UEFAのリーグランキングでイタリア・セリエAを抜き3位に浮上し、チャンピオンズリーグへの出場枠を上位3チームから4チームに増やしています。このリーグで優勝争いをするドルトムントの攻撃的なポジションで主力を張る香川選手は間違いなく本物だと思います。また、現在ブンデスリーガ首位のバイエルン・ミュンヘンも本当に強いです。宇佐美選手には出番があまりないですが、今は腐らず頑張って欲しいです。ドイツでの日本人選手の評価が急騰していますが、ここで結果を出す日本人選手が増えれば、日本サッカーの未来は更に明るくなると思います。

↓ドイツvsブラジル(香川選手の同僚のゲッツェ選手が大活躍してます)



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